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ドイツ人記者 クリスティーナさんと出会って感じた事

2015年12月4日(金)ホテルグランドパレスにて

 

【日本代表の一人として取材を受けた】

ボッシュ財団のイベントでドイツのジャーナリストの方々12人は一週間の予定で、訪日されました。その中の新聞記者のクリスティーナさんは「日本人の自殺が多いことに興味がある」との事で、窓口になっている経団連の国際広報センター様が、自殺対策について活動している団体として我が協会を取り上げてくださいました。

クリスティーナさんは日本に来て取材活動をしていて既に精神科医やライフリンクの清水様、厚生労働省の担当の方々など様々な方と会って、日本での自殺の状況や原因などについて、取材をされて最終日の取材となりました。今までの取材では“相談所を増やすことや自殺対策のキャンペーンを行う事、自死遺族の支援などのお話”があったようです。

幣会では国などで設置した相談所が有効に活用され、さらに精神科などの医療機関につなげるように“みんながゲートキーパープロジェクト”として、目の前で不安に陥っている方が安心して相談所や精神科などの病院に行けるように、【味方になりきるコミュニケーション】を身に付ける活動であることを説明させていただきました。

【ドイツでは100点にこだわらない】

ドイツと日本の考え方を確認したいために小生が子どものテストの事例で「算数のテストでポカミスしてしまい、90点だった子供に何と言いますか?」と質問すると、ドイツでは「一つの教科でこだわらない、子供のいいところを伸ばすようにしている」とのお話で、日本では「惜しかったね。どこ間違えた?次は100点取るように頑張って・・」などと発言する方が少なくありませんので、子供たちは“完璧でないといけない”といった価値観が出来上がります。ドイツでは100点にはこだわらない考え方のようです。

【ドイツでは働く時の自分の役割が明確】

さらに、ドイツの仕事に対する姿勢を確認したところ、ドイツでは契約がしっかりと出来ていて自分の役割を認識して、仕事をする時には集中して終わったらゆっくり休むといったワークライフバランスが定着していて、日本のように行き過ぎた成果主義や完璧主義が定着した社会では長時間労働でなんでも頑張り続けて、結果としてメンタルヘルス不全になってしまうパターンが想像できます。個人の“完璧であるべき”という理想に燃えて頑張り続け、さらに他人の成果に負けないように・・・とひたすら働き続け、出来ない自分を責めてしまうことになります。成功者はほんの一部で多くの人は挫折をたくさん経験していることと思いますし、成功者でも失敗経験が沢山あるように思います。

日本の多くの企業では製品の品質を高めるためにトラブルが発生した時に「何故?何故?何故?何故?何故?」と唱えて、ミスの原因を追究して真の原因追及を行ったうえで、それを改善して世界一を目指す・・と言った取り組みが行われています。製品に対しての原因追及はもちろん行わないといけませんが、仕事や納期・気持ちに余裕がなくなってくると、ミスをした人に対して、「何故?×5」が行われるようになってしまい、人の存在を認めない風土になってしまうことになります。世界に伍して仕事をしている人たちは、「ポカミスはするのが当たり前」と頭ではわかっていても、「何故?×5」となってしまうことが少なくないと思います。

このような環境下で「勝ち組/負け組」といった、表現が日常的に聞こえるような社会になってしまったように思います。

12月7日の日経新聞にドイツと日本の労働について以下のような報道がありまました。

ドイツ 日本
年間労働時間 1371時間 1729H
一人当たり労働生産性 60,2ドル 41,3ドル

さらにドイツでは労働時間貯蓄制度があり、残業時間を貯蓄して夏休みなどに長期に休むような仕組みで、ワークライフバランスを自律的にとっていることなのだと思います。

ドイツの人の方が効率の良い、高付加価値の仕事をしていることになります。

 

【人の承認欲求を満たすことが必要】

職場で落ち込んでしまった方々は①完璧(100点)でないといけない②自分のミスを責められたくない③我慢することが美徳・・・などの価値観が優先されて、一人さみしく落ち込んでいってしまう光景が目に浮かんできます。そのような人に気づいた人は「ガンバレ、元気出して、相談所に行って、調子が悪かったら病院に行って・・」などと発言することがありますが、言われた人はこの言葉でホッとするでしょうか?相談所や病院に行くでしょうか?きっとこのようなアドバイスだけでは本人は、主体的な行動に移すことが出来ないと思われます。

このような人に気づいた人が“味方になりきるコミュニケーション”

・日常の中で:OKメッセージ

名前とあいさつをセットに

“いいとこ探し”

・様子が気になる人へ:I(私・愛)メッセージを贈る

あなたを見ていて元気がないように思う。何か私にお手伝い出来ることがありますか?

・「死にたい」と言われたら:Heart(心・命)メッセージを贈る

「共感・感謝・約束」

死にたいくらい辛いんですね

私に話してくれてありがとう

私はあなたが死んだら寂しい。また来週この場所で会いましょう

 

このような“味方になりきるコミュニケーション”を身につて、日頃の生活で活用していると落ち込んでしまった方を。きちんとつなぐ事ができると思います。私たちのゲートキーパー養成講座に参加してくれたJさんが「大学時代の北海道の友人から電話があったが、Heart(心・命)メッセージ自死を止める事ができました」と報告してくださいました。

【出来ることを出来る範囲でやり続けたい】

これが“みんながゲートキーパープロジェクト”です。このような心がつながっている安心の“竹やぶ社会”になって欲しいと願い、出来ることを出来る範囲でやり続けていきます。

2015年12月21日

大小原利信

ドイツ人記者クリスティーナさんから学んだこと

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